「紺屋めぐり」とは?

そもそも「紺屋」という言葉に耳馴染みが無い方も少なくないかと思います。

「紺屋」とは染物屋のことを指し、江戸時代に染め物の大半を占めていた藍染の色から染織職人を総称して「紺屋」と呼ぶようになったそうです。

新宿区の地場産業である染色業。地域と密着した産業である紺屋の世界をこの機会に覗いてみませんか?

体験・見学で出来ること

紺屋めぐりでは各工房が工夫を凝らしたイベントで皆さんを出迎えます。

今年は11の工房が参加し体験・見学は予約制、SHOPありの工房は期間中いつでも足を運んで商品を購入頂けます。

体験一覧

■染色補正

彩徳

体験内容:講習

所用時間:120分

染色補正と呼ばれる「染抜き」や「修繕」の作業について、実際の作業や事例を見ながらお話を聞くことが出来ます。和装に限らず布に興味がある方はどなたでも楽しんで頂けるのではないでしょうか。

東京都新宿区高田馬場4-19
http://saitoku.tokyo/


工房紹介

染抜きはもちろん、販売前の着物や洋服にも加工も行う染色補正の工房です。販売前の着物になぜ染色補正が必要かと言うと、水元の際に糊のカスによる跡や染色の際にはみ出してしまう等修正が必要になる場合があります。着物の購入者が気付かない程の加工が必要であるため、依頼があること自体が一流の証です。その一方、依頼側が隠したい情報でもあるため外には出せない事例も多いそうです。

染色補正は今でも進化し続ける生きた技術であり、布地という広い意味で培われてきた技術であることを感じることが出来ます。着物だけでなく、日々使う服や鞄とも長く付き合うヒントを貰えるのではないでしょうか。

■引染

ふじや染工房

体験内容:蒸し、地入れ

所用時間:45分~120分

「蒸し」と「地入れ」という少し専門的な作業を体験出来ます。色作りの専門家である引染の職人さんと会話を楽しみながら、土づくりの味わいのある工房を是非見ていって下さい。

SHOPあり

東京都新宿区高田馬場3-28-13
https://sites.google.com/view/fujiya-somekoubou/home


工房紹介

引き染めの工房であるふじや染工房。帯や着物から暖簾、小物まで幅広く手掛けられています。また、直接取引に来る飛び込みのお客様にも対応する貴重な工房です。最近ではInstagramからの問い合わせも多いとのこと。

引き染めとは、生地の地色を染める工程で、1色で均一に塗る場合もあれば「ぼかし染め」のようにグラデーションを作る場合もあります。生地の背景となる裏方でありながら全体の印象を決める重要な作業です。

引き染めは作品の主役になることはなかなかありません。加工した生地は依頼者の作品として世に出るため、依頼者の想像しているものを忠実に再現出来るよう技術を日々磨かれています。常に依頼者の作品を作っているという心持ちを大切に作業されているそうです。

■更紗・紅型

おかめ工房

体験内容:紅型染色

所用時間:150~240分

紅型の体験をすることが出来ます。おかめ工房オリジナルの見本があり、丁寧に教えて頂けるのでご家族や初心者の方でも安心です。

SHOPあり

東京都新宿区中落合1-17-12 清水ビル 1階
https://okamekobo.jp/


工房紹介

紅型の染色工房で、代々受け継がれてきた工房が多い中1代で工房を築かれました。また、染の小道の実行委員として活動もされていて、その活動がきっかけで新宿区染色協議会に所属されるようになったそうです。「染の小道」は町おこしをキーワードに中井周辺の川を中心とした地域ぐるみのイベントです。

おかめ染工房では「日常生活に和の彩り」をコンセプトに着物や帯はもちろん、ランプシェードや小物、暖簾等日常的に使える作品の製作にも積極的です。また、古典的な柄に留まらずオリジナルの柄も日々考案され伝承にとり組んでいます。日頃から教室に通われている生徒さんもいらっしゃり、生徒さんと交流しながらの体験も魅力の1つです。大学の卒業製作を作りに来られている生徒さんもいらっしゃり等間口も広く、枠に囚われないお人柄を工房全体から感じることが出来ます。

おちあい(二葉苑)

体験内容:型染、写真撮影

所用時間:120~90分

毎年違う体験が楽しめる二葉苑。今年は型染体験と型彫体験が出来ます。広々とした川沿いに立つモダンな建物で工房見学と100年前の着物を羽織っての撮影も魅力的です。

SHOPあり

東京都新宿区上落合2-3-6
https://www.ochiai-san.com/


工房紹介

更紗の染色の専門家でありながら、藍の葉の育成や店舗での商品販売、更紗の染色教室等地域を巻き込み染色の活性化にも精力的に取り組んでいらっしゃる工房です。

更紗は1つの柄を作るのに複数の型紙を使用する手間のかかる染色方法で、扱う工房も減りつつあります。新宿区染色協議会でも更紗をメインの商品とし、実際に商品として見せて頂けたのは二葉苑さんのみでした。二葉苑に所属している職人さんはみな更紗職人でイベントの際は藍染を行うこともあるそうです。創業100年を迎える二葉苑さんですが広々とした工房は古さを全く感じさせることはなく、新しい図案の研究に日々取り組む二葉苑の活動を表しているようでした。

更紗の型紙から作成したい方は全6回な本格的染色教室も用意されているので興味のある方は是非HPをチェックしてみてください。

■模様

小倉染芸

体験内容:友禅染

所用時間:150分

友禅染体験

高田馬場3-25-8
http://ogurasengei.com


工房紹介

主流な技法の他伝統を礎えに、新しい独自の写し糊糸目技法で、より深い色合いと格調をくわえ、デザインから完成までオートクチュール指向の手描友禅を創作しています。 作風として、伝統的な古典柄からモダンな柄まで制作しております。 世界自然遺産である知床や熊野古道をテーマにした作品をライフワークにしています。

染の高孝

体験内容:墨流し(ハンカチ、半襟、帯揚げ等)

所用時間:60分

墨流しという特殊な技法を体験できる工房です。染料が溶けていく様子を眺めるだけでも癒されます。初めての方でもクオリティーの高い作品が制作出来ます。

高田馬場3-9-1
www.some-no-takako.jp
03-3368-7388


工房紹介

小紋、引き染め等の主流な技法の他、墨流し、点描、一珍染のような他の工房ではなかなか目にかかることの出来ない特殊な技法を得意とする工房です。

染の高孝では、「墨流し」の教室を運営しています。墨流しとは、液体の糊の上に染料を浮かべその染料を生地に付着させて染色を施します。初めてやる方でも鮮やかな作品が作れる一方で、コントロールが難しく思い通りの作品を作ることが難しい技法でもあります。染の高孝さんの場合は糊の粘度を高くしコントロールしやすいよう工夫されているそう。また作成風景も美しく、透明な糊に染料が広がっていく動きを見ているだけでも癒されます。墨流しは汎用性も高く、革などの絹以外の素材を染色することが出来ます。お土産に貝殻に墨流しで染色を施したものをお土産に頂きました。

協美

体験内容:友禅染(半襟)

所用時間:240分

東京手描き友禅の体験が出来ます。源氏香等の古典的な柄に自分のイメージした色を調合しオリジナルの半襟が作れます。

新宿区下落合4-6-17
www.yu-zen.ne.net


工房紹介

友禅染めの工房である協美さんは着付け教室も併設し、着付けの資格の一部として友禅の講習行うといった着物業界全体を考え活動に邁進されています。

友禅師は色や文様、家紋等様々な知識を要求されます。書斎にも案内頂き、家紋が一覧となっている書籍や色見本を見せて頂きました。かつて書籍も限定され各工房で同じ色見本等を共有出来ていた当時、番号や柄名でのやり取りでデザインを行うこともあったそうです。しかし、書籍も多岐に渡る現在では実際に見本を見て選ぶ場合が多いそうです。書斎を見渡すだけでもジャンルが様々で、要求される知識も幅広いことが分かります。友禅染めでの幅広い知識を生かし、染色業界に留まらず着物の仕立てや手入れまで様々な業種との繋がりを持っています。友禅の教室で作った作品をそのまま着物として仕立てて貰うことも出来るそうです。友禅教室は1日で体験出来る気軽なものから毎月通うような本格的なものまで、生徒さんの興味に合わせて選ぶ事が出来ます。

染芸工房 隼人

体験内容:金彩(コースター、巾着)

所用時間:120~240分

自分で選んだ柄に金彩を施します。型を毎回使い捨てる必要のある金彩。体験では自分で型を彫るところから始める本格的な体験が楽しめます。

新宿区弁天町4


工房紹介

金彩と呼ばれる加工の他に友禅染めを行う工房でもあります。隼人さんで友禅染を施す場合、反物全体を染めるだけではありません。採寸が合わず欠けてしまった柄を続いているよう染色を施すことや既に仕上がった反物に柄を加えるというような元の生地を生かしたまま施す加工も行います。

金彩とは金箔や金粉を用いた装飾で、主に友禅染のあとに施されます。金彩を施したい場所に糊を置き、その上に金を乗せていきます。道具へ強い拘りやから金箔からご自身で作られています。隼人さんで作られている金箔は小紋と呼ばれ金箔自体に模様がついています。この金箔を用いることで加工された部分にうっすらと浮かび上がります。隼人さんが考案された金箔小紋を体験してみて下さい。

■小紋

富田染工芸

体験内容:江戸小紋(小裂、袱紗)

所用時間:120分

大正時代に建てられた趣のある工房で江戸小紋の染色体験が楽しめます。工房には博物館が併設され、江戸小紋の歴史から知ることが出来ます。

新宿区西早稲田3-6-14
https://tomita-senkougi.com/


工房紹介

富田染工芸さんには東京染ものがたり博物館が併設され更紗の歴史や道具の紹介の他、平常時は更紗の染色の体験教室も行っています。

染色の普及活動の他、新しい商品作りにも積極的です。着物地への染色だけでなく、染色した生地をネクタイへ加工した商品や革へ染色を施した商品も考案されています。また、着物への馴染みが薄くなった現代で着物のなんでも屋として着物悉皆屋のサービスも運営されています。着物で何かお困りごとがあればぜひ富田染工芸さんに相談してみて下さい。

千和多染工

体験内容:江戸小紋(トートバッグ)

所用時間:90分

江戸小紋の型紙を使った体験です。蒸しや引染め等の江戸小紋に関わる工程の一通りを全て工房内で行っていて、染色の過程も知ることが出来ます。

新宿区高田馬場2-11-3 5階


工房紹介

千和多染工は小紋を中心とした工房です。引き染めから蒸しの工程まで全て工房内で行っています。

江戸時代、幕府は民衆の華美な服装に危機感を覚え規制を行います。その規制を掻い潜りおしゃれを楽しむため裃からアイディアを得て小紋は発展しました。柄が小紋より大きい物を中紋、小さいものを極小紋と呼ぶ場合もあるそうです。

千和多染工は藍染の工房として長野を拠点に製作をされていました。しかし、先代から東京に移動し現在の拠点である高田馬場で製作されています。藍染の際に培った技術である糊で附せて染色を施す技法を、小紋に応用し現在の形になったそうです。現在でもマスク等の小物へ藍染を行うこともあるそうです。

■湯のし

吉澤湯のし加工所

体験内容:講義、見学

所用時間:30~40分

友禅や小紋などどの染め方でも必ず行われる湯のし。吉澤湯のし加工所では染色業や新宿区染色協議会全体について知ることが出来ます。熱を発しながら動く大型の機械の迫力も魅力です。

上落合1-9-8
http://yunoshi.net


工房紹介

湯のしという言葉を聞いたことがあるでしょうか。反物は必ずと言って良い程通る工程でありながら、裏方の作業であるため就業者が減りつつあるのも現状です。

「湯のし」とは、蒸気を使って反物の皺を伸ばし幅を整える作業のことで、主に洗い張りや水元等の皺になるような作業を行った後に通る工程です。スチームアイロンを想像して頂けると分かりやすいかと思います。長時間同じ箇所を熱してしまうと焦げてしまうデリケートな作業でもあります。そのため1度作業を始めてしまうと作業の中断は容易ではありません。その特徴からか時間を限定し営業する工房が多い中、吉澤湯のし加工所は平日9:00~17:00休みなく受付をしています。いつでもやってる駆け込み寺のような存在を目指し、湯のしの間口を広げる新しい形を提案しています。

予約URLはこちら▽▽

https://reserva.be/konya/

※お申込みいただいた方には、今後イベントなどに関するご案内をメールでお送りすることがございます。ご不要な際は後日、大変お手数ですがメールの配信停止の旨を「お問合せフォーム」にてご連絡いただけますようお願いいたします。